NISSAN FAIRLADY Z コクピット西部

思い入れのあるボルクレーシング21で、さらに輝く貴婦人の魅力
owner:菅野秀徳さん
ほどよいカスタマイズを施すことで、オーナーがイメージする理想の姿を追求したZ32。それでいてオリジナルの魅力を損なうことなく佇まいが爽やかで、デビューした頃にこの流麗なスポーツクーペから受けた並外れた存在感、美しさ、凄みといった強烈なインパクトが鮮明に甦ってきた。新車のような素晴らしいコンディションに保たれていることも、そんな気持ちにさせたのだろう。オーナーの深い愛情を感じつつ、絶妙なさじ加減でZ32を引き立てるカスタマイズにも心が躍る。
1989年に発売されたZ32 フェアレディZは、菅野秀徳さんにとって高校生のときからの憧れだった。免許を取得するとまずは別のクルマで“練習”を積み、19歳でこのZ32と出会う。VG30DE 3リッターNAエンジンモデルで、後席を確保するためホイールベースが伸ばされた2by2。すでにZ32の生産は終了しユーズドカーを購入したが、撮影を行った2022年はそれからちょうど20年になる。
それだけの年月をともにすれば仕様変更も何度かあったそうだが、「じつは一度だけ、クルマに対する情熱が冷めてしまった時期があったんです」と意外な話も飛び出した。その際にはお気に入りだったホイール、ボルクレーシングGT-Cを手放してしまったそうで、もう一度Z32を大切に乗り続けようと心に決めたときには後の祭り。いろいろ手を尽くしたが、再び手に入れることはできなかったという。
そんな菅野さんに、数奇な出来事が待ち受けていた。Z32の購入以来、カスタマイズからメンテナンスまで幅広く行っているコクピット西部から“撮影”の依頼があったのだ。聞けばRAYSが新商品の「ボルクレーシング21C」を掲載するリーフレットを制作するにあたり、装着例を撮影するためのクルマを探しているとのこと。菅野さんは快く引き受け、21Cを履いたZ32の姿が写真に収められ、それはリーフレットのみならずカタログにも掲載されることになる。
できあがったカタログを目にした菅野さんには、感慨深いものがあった。それまで複数のボルクレーシングを装着してきたこともあって、RAYSのホイールには特別な思い入れがある。しかも21Cは、あのGT-CやボルクレーシングGr.Cへのオマージュが込められたモデルだ。そうして菅野さんはボルクレーシング21Cを愛車に装着することに決める。心憎いのは、クルマの左側2本はダークガンメタ-リム/DC、そして右側はブロンズアルマイトとカラーを変えていること。21Cはこの2色のみで、「あとで別の色にしたほうがよかったかなと思わなくて済みます」と菅野さんは笑うが、愛車の魅力とカスタマイズの勘どころがわかっているからこその粋なチョイスと感心せずにはいられない。


DETAILS
匠の技
WHEEL

ネオクラシックなボルクレーシング21は
車両左右で異なるカラーをチョイス
ホイールは「ボルクレーシング21C」を装着。サイズは18×9.5 +20、FACE-2。骨太なイメージの5本スポークにディンプル形状を採用したところは、30年ほど前のRAYSのフラッグシップモデル「ボルクレーシングGr.C」や菅野さんのZ32が履いていたGT-Cのデザインを彷彿させるもの。クルマの左右で異なるカラーをチョイスし、左側はダークガンメタ/リムDC(VC)でクールに決める。スポークの奥に覗く4POTキャリパーはZ34用を流用。

右側はブロンズアルマイト(BR)を装着。TE37シリーズ等、ボルクレーシングを象徴するようなカラーだが、華やかさを感じさせつつ渋みのある輝きを放つ。リーフレット/カタログ用写真の撮影時にはダークガンメタ/リムDCのみを装着したが、購入を決める前にはブロンズアルマイトの実物も店頭で確認し、その色味や風合いを確かめることができた。どちらのカラーもお気に入りで、甲乙付けがたかったこともこのチョイスの一因だった。。
EXTERIOR

派手すぎないのに個性をキリッと演出する
絶妙なボリューム感のボディパーツを装着
こまめなメンテナンスもあってエクステリアは美しく保たれているが、ボディには一度オールペイントを施しており、その際にフロント、サイド、リアにボディパーツを取り付けた。「エスコート」のフロントバンパーで顔立ちに凜々しさが増しているが、ボディパーツはいずれも適度なボリュームでほどよく印象を変えている。スポコン大ブームの頃にはGTウイングを装着してよりアグレッシブな装いだったが、現在はオリジナルのスタイリングの美しさを大切にモディファイしている。

サイドステップとリアアンダースポイラーは「BOMEX」をチョイス。またドアミラーはエアロ形状の「ガナドール スーパーミラー」に交換している。内外装については各部の経年劣化はやむを得ないものといえるが、菅野さんがDIYで対処している部分も多い。2by2には標準装備となるTバールーフ回りはクリア塗装の剥がれが目立ってきたが、カーボン柄のフィルムをあしらうことでスタイリッシュに仕上げている。
INTERIOR

選び抜いたお気に入りのアイテムと
じっくり付き合うことで増す愛着
ダッシュボードを保護するためにカーペットを被せているほか、インテリアトリムはジャージ生地の部分が痛んできたのでブルーのスエード生地で張り替えを行っており、これも菅野さんが作業を行った。ダッシュボード、センターコンソール、ドアトリム、さらには交換したステアリングの「MOMO TREK」も同じカラーリングで統一されている。油温/水温/インマニ圧の3連追加メーターは「Defi Link Meter ADVANCE BF」をチョイス。

シートは運転席、助手席ともに「RECARO SR-3 CHALLENGER」を装着。懐かしいモデルだが、きれいに張り替えが行われている。SR-3のほか、オーディオシステムは往年の5.1チャンネルシステムがインストールされているなど、オーナーのZ32との付き合い方には、気に入ったカスタマイズパーツはきちんとメンテナンスしつつ可能な限り長く付き合っていくというこだわりが感じられる。内外装だけでなくエンジンルームも美しく保たれ、愛車の隅々にまで目が行き届いている。

OWNER'S VOICE
菅野秀徳さん
Z32の走行距離は現在15万km。通勤用のクルマが別にある2台体制を敷き酷使はぜず、同じ趣味を持つ仲間とのツーリングやオフ会などでステアリングを握っている。「Z32と言えばやはりTバールーフが象徴的な装備だと思いますし、私も気に入っています。でも、これまで開けて走ったのは2、3 回かな」と笑う菅野さん。さらに4人乗りの2by2にもかかわらず、「リアシートに人を乗せて走ったのは一度きりです」とのこと。2019年には富士スピードウェイで開催されたオールフェアレディミーティングのZ32部門で優勝した経歴を持ち、コンディション維持に余念がないが、「いま気になっているのは足回り。装着しているTEIN SUPER STREETはさすがにお疲れのようで、そろそろリフレッシュを考えています」と、次のステップもすでに頭の中にある様子だった。
SPEC
ベース車両 | NISSAN FAIRLADY Z(Z32/1992年式) | |
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ホイール | RAYS:VOLK RACING 21C 18×95 +20 FACE-2 Right:BRONZEALUMITE(BR) Left: DARKGUNMETALLIC-LIMB/DC(VC) |
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フットワーク | TEIN:SUPER STREET | |
吸排気系 | ZEES:CYBER GT STANDARD MUFFLER | |
電装系 | Defi:Link Meter ADVANCE BF (OIL TEMP/WATER TEMP/INTAKE MANIFOLD PRESSURE) |
エクステリア | ESCORT:FRONT BUMPER SPOILER BOMEX:REAR UNDER SPOILER BOMEX:SIDE STEP GANADOR:Super Mirror URAS:INNER BILLET GRILL |
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インテリア | RECARO:SR-3 CHALLENGER MOMO:TREK NISMO:SHIFTKNOB OX:FRONTSHADER |
A&V・カーナビ | ALPINE:5.1ch SYSTEM |
その他 | INTERIOR TRIM REPAIRING |