TOYOTA MR2 コクピット川越

街乗りをあきらめない、本格サーキットアタック仕様
ファインチューニング……そんな言葉が、このSW20の魅力を言い表すにはしっくりくる。二代目トヨタMR2を知り尽くしたコクピット川越代表 皆川善平氏。彼が手がけたデモカーは、ボディを彩るステッカーロゴが派手な印象を与えるけれど、冷静に観察すればエアロは純正仕様のままで外観に大胆なモディファイの跡はない。コクピットを覗いても、目立つのはRECAROのフルバケットとオクヤマのロールケージくらいだ。「見ためだけでなく、エンジンも基本はノーマル。CPUセッティングの変更によるブーストアップだけ行いました。壊れにくく、手軽に楽しめるSW20です」。そう皆川代表が説明するように、街乗りも自在にこなせる内容が与えられている。しかし、このMR2は速い。現在とほぼ変わらぬ仕様で、2003年のREV SPEED筑波サーキットスーパーバトルに挑み、1分3秒5をマークしたのだ。その後さらにタイムアップを実現しているが、ストリートにおける使い勝手を切り捨てずにここまでまとめ上げたところが、コクピット川越の凄さ。そこからは、手軽にクルマを操る楽しさを味わってもらいたいという、皆川代表のぶれることのないスタンスが感じられるのである。


DETAILS
匠の技
FOOTWORK

速さの秘密は足まわりの
巧みなセッティングにあり
皆川代表が「快適で乗りやすいモータースポーツ仕様」と表現するとおり、MR2の足まわりは街乗りもOKのセッティングながら、サーキットに持ち込んでも楽しめる。それを可能にしたのが、エナペタル製オリジナル仕様の車高調だ。スイフト製スプリング、ピロアッパーなどサーキット走行を睨んだスペックが見てとれるが、それでも快適性や扱いやすさに配慮。また、ミドシップレイアウトのMR2は追い込めばシビアな一面をみせることもあるが、ダンパーやスプリング、そしてアライメント等のセッティングを煮詰めることで、乗りやすく、安定した挙動を示すクルマに仕上がっているという。

①エナペタルZスペシャル直切り車高調を装着。サスペンションブッシュ類の多くはピロ化され、ロールセンターアダプターも組み込まれている。②ブレーキシステムはノーマルキャリパーを用いつつ、ローターはスリットタイプへ、パッドはサーキット走行向けのエンドレスCC-Rを採用。ブレーキホースもAPPステンメッシュホースへ交換した。
EXTERIOR

オリジナルデザインの
魅力を崩さぬように配慮
現在はハイグリップラジアルPOTENZA RE-11と高性能アルミホイールProdrive GC-06Dを装着し、ストリートもサーキットもこのまま楽しめる仕様となっている。Prodrive GC-06Dは生産終了モデルだが、ボディに合わせたホワイトカラーが与えられスポーティにコーディネイト。リヤウイングも含めボディパーツはオリジナルのままだけに、ホイールの存在感が際立つ。

①タイヤ&ホイール・サイズは、フロントが215/40R17+17×7.5J、リヤが255/40R17+17×9.5Jの組み合わせ。ストリートではPOTENZA RE-11を装着するが、サーキット走行時にはSタイヤを装着することもある。②ボディ関連では唯一のカスタマイズといってもいいのが、FRP製エンジンフードカバー。軽量化の一環だが、見ためは大きく変わらない。
INTERIOR

操作性へのこだわりは、
どんな走行シーンでも不変
ドライバーズシートとステアリングを交換し、4点式ロールケージを組み込んだところが目立つ程度で、コクピットにはオリジナルの面影が強く残る。このMR2には、とにかく“走ることを手軽に楽しむ”というコンセプトのもと、必要不可欠なアイテム、もしくは大きな効果が認められるパーツだけを盛り込むというカスタマイズの手法が徹底している。

①ステアリングはナルディ・クラシックを装着。操作のしやすさに定評のある息の長いモデルだ。②シフトノブはTRD製に交換。トップ部にあしらわれたカーボン柄とTRDのロゴがスポーティ。③シートはRECAROモータースポーツシェルシリーズから、ストリートユースとしてはホールド性にこだわったモデルと位置づけられるSP-Gを装着。ちなみにRECAROのストリート使用が可能なバケットシートには、SP-Gシリーズのほかにより日常での使いやすさを考えたRS-Gシリーズ、さらにアイポイントを下げたTS-Gシリーズがある。④オクヤマ製ロールケージは4点式だが、Bピラーより後ろに収まり乗降性に支障が生じるようなことはない。
ENGINE

ブーストアップにより、
最高出力290psを発揮
最高出力は290psをマーク。ノーマルの245psから45psアップを実現しているが、これは吸排気系のカスタマイズとコンピュータセッティングの変更によるブーストアップ(最大ブースト圧は1.2kg/cm²)によるもので、補機類を含めメカニカルなモディファイは行っていない。コストパフォーマンスと乗りやすさにこだわったからだが、それでも十分なスペックを手に入れている。

①APEXiのFCコマンダーをコクピットのセンターコンソールに取り付け、さまざまな情報のモニタリングとコンピュータのセッティングに活用。②マフラーは、ジムカーナやダートトライアルなどナンバー付き競技車両向けに開発されたフジツボ RM-01Aを装着。軽量化を徹底したモデルだ。ターボエンジンだけに吸排気系のモディファイはきめ細かく行っており、吸気系ではレスポンスアップのためアルミターボパイプなども採用する。

OWNER'S VOICE
コクピット川越 皆川善平 代表
開発からだいぶ年月が経っていますが、現在もコクピット川越が主催する走行会などで積極的に走らせています。SW20はある意味クセのあるクルマですが、足まわりやLSDのセッティングで試行錯誤を繰り返し、乗りやすいクルマに仕上げることができました。どんなクルマも楽しく走ることができてこそ、その魅力が引き立つ。そんなこだわりを持って、これからもお客さまのクルマづくりに関わっていけたらと思います。
SPEC
ベース車両 | トヨタMR2 GT(1998年式) |
---|---|
タイヤ | BRIDGESTONE:POTENZA RE-11 F:215/40R17 R:255/40R17 |
ホイール | Prodrive:GC-06D F:17×7.5J +30 R:17×9.5J +44 |
フットワーク | エナペタル:Zスペシャル直切り車高調キット(クスコ・ピロアッパー、スイフト・スプリング F:9kg R:16kg) クスコ:ピロボール、ウレタンブッシュ ロールセンター・アダプター ピロテンションロッド エンドレス:CC-Rブレーキパッド、スリットローター APP:ステンメッシュブレーキホース |
ボディ補強 | オクヤマ:4点式ロールケージ |
インテリア | レカロ:SP-G モータースポーツシェル タカタ:4点式ハーネス ナルディ:クラッシック φ34 TRD:シフトノブ パイオニア:カロッツェリア DEH-340 CD/チューナー |
---|---|
エクステリア | FRP製エンジンフードカバー |
エンジン | APEXi:FCコマンダー ウルトラ:MDI、パワーアース、パワーシリンコンプラグコード NGK:イリジュウムプラグ9番 銅三層ラジエター |
吸排気系 | K&N:ノーマル形状エアクリーナー クスコ:アルミターボパイプ トラスト:シリコンジョイントホース フジツボ:RM-01マフラー |
駆動系 | クスコ:スーパーシングルクラッチシステム、LSD Type-RS(2WAY) |