NISSAN NOTE NISMO S コクピット西部

進化の歩みを止めないのは、“こんなクルマにしたい”があればこそ
owner:丹治裕善さん
「マーチボレロA30をご存じですか。オーテックジャパン創立30周年を記念して30台のみ販売された限定車で、少しだけ試乗したことがあります。ノート NISMO Sと同じHR16DEユニットを搭載しているのですが、ある意味別モノ。カム、クランクシャフト、コンロッドなどなど専用パーツを用いて、レースエンジンを手がけてきたオーテックの匠が手組みしているんです。そのエンジンのフィールがほんとうに素晴らしかった。高回転までストレスなく吹け上がり、柔軟性もある。いまでも心に残っています」
コクピットカスタマイズカーコンテスト2019コンパクト国産クラスの1位に輝いたノート NISMO Sのオーナー、丹治裕善さんは、お気に入りの愛車をどのようなクルマに仕立て上げたかったのかという問いに、そんなレアモデルを引き合いに出した。スペシャルパーツを組み込み、メーカーが徹底してチューニングを施したエンジンに少しでも近づけたいと、マインズのVX-ROMやスロットル径を拡大したハイフロースロットルシステムを投入し、NISMOスポーツチタンマフラーやN-TEC エクストラチャンバーなどで吸排気系にも手を加えた。すべては自身に感動を与えたマーチボレロA30のエンジンのように、「使い勝手を犠牲にせず、どんなシチュエーションでも気持ちよく」を目指すため。そんなカスタマイズのコンセプトに則ってパーツを厳選しているが、クスコ・パワーブレース、オクヤマ・ストラットタワーバー/トランクブレースでボディ剛性を高めたのも、オーリンズがベースのNISMOスポーツサスペンションキットのパフォーマンスを存分に引き出し、街乗りからサーキット走行まで幅広く楽しめることを狙っているからだ。
とは言っても人の欲求は計り知れない。ひとつの頂に到達してそこからの景色を堪能すると、さらなるステップアップへと歩みを進めたくなるのはままあること。新商品のリリースなども背中を押して、RAYS VOLK RACINGを中心に鍛造ホイールはすでに5セット目、N-TECの4POTキャリパーキットは、280mmローターモデルから300mmバージョンへと交換。ノート NISMO Sのカスタマイズは、愛車のすべてを任せているコクピット西部の岩城マネージャーに相談しながら、まだまだ現在進行形なのである。
「次はこれです」と、丹治さんが笑顔で見せてくれたのは携帯の待ち受け。そこにはオーリンズDFV車高調の画像があった。このパーツを付けてみたいなと思ったら、いつもそんなふうにしてイメージを膨らませているそうだ。さて、オーリンズDFVのその次は?そう聞いてみたくなるような、魅力的な一台だった。


DETAILS
匠の技
TIRE&WHEEL

ストリートもサーキットも
POTENZA × VOLK RACING
POTENZA S001とRAYS VOLK RACING ZE40の組み合わせは、ストリート用のタイヤ&ホイール。通勤やちょっとしたお出かけなど、毎日のようにステアリングを握る実用車だが、スポーティな乗り味を楽しみつつ快適性も確保したいオーナーにとっては、軽量高剛性な鍛造ホイールと、プレミアムスポーツタイヤのチョイスは必然だった。次のタイヤ交換時には、S001の後継モデルであるPOTENZA S007Aが気になるところ。

ホイールは“STRONGホイール”と呼ばれる、VOLK RACINGシリーズの中でも高剛性が際立つ“ZE40”をチョイス。現在のZE40は、ブロンズとダイヤモンドダークガンメタの2色が標準設定されるが、オプションカラーのゴールドをチョイスするあたりが心憎い。また、サーキット走行用として、リアルスポーツPOTENZA“RE-12D”とVOLK RACING TE37 SAGA タイムアタックエディションのセットも用意している。
FOOTWORK

“走る、曲がる、止まる”のレベルを
バランスよく高めるパーツチョイス
足回りは純正オプションとして設定されているNISMOスポーツサスペンションキットでパフォーマンスアップを図った。オーリンズ製車高調がベースで、サーキット走行も視野に入れつつ、NISMOのオリジナルチューニングが施されている。車高は実用性も考慮して、2cmほどのダウンに留めた。やや経年劣化が感じられるようになってきたため、オーリンズDFV車高調への交換を考えている。

スポーティフィール獲得を目指した足回りのカスタマイズにおいては、スタビライザーの装着・強化がおすすめだ。このノート NSMO SもCUSCOスタビライザーフロント、リヤスタビバーを装着し、しなやかさを失わずにコーナリングやレーンチェンジなどでのロールを効果的に抑制している。また、さらなるストッピングパワーを手に入れるため、N-TEC エゴイスト300mmローター4POTキャリパーキットを取り付けた。
EXHAUST

爽快なエンジンフィールを求めて
排気効率にもこだわる
丹治さんのノート NISMO Sは吸排気系へトータルに手を入れ、バランスよくエンジンフィールを向上させている。マフラーは純正オプションのNISMOスポーツチタンマフラーに交換。ノート NISMO Sの標準マフラーの半分の重さとなる4.9kgという軽量設計で、低回転域では控えめながら中高回転域ではチタン素材らしい軽快なエキゾーストノートを実現している。

マフラー交換に合わせて、レスポンスアップを狙い触媒も交換した。チョイスしたのは車検対応のマインズ・スーパーキャタライザーで、排気効率を高めつつストリートからスポーツ走行まで幅広くその性能を発揮する。オーナーが惚れ込んだマーチボレロA30が搭載するHR16DEユニットの胸のすくレブフィールを目指して、排気系チューンにこだわった。
ENGINE ROOM

吸気系のカスタマイズに加え
消耗部品への目配りも怠りなし
エンジンがフレッシュエアをスムーズかつたくさん吸い込めるように、吸気チューンを施した。いわゆるビッグスロットル化をマインズ・ハイフロースロットルシステムで実現し、カーボン製のN-TECエクストラチャンバーをセット。これにあわせて、マインズ VXロム・エンジンコントロールユニットもインストールした。このほか駆動系については、クラッチをORCメタルタイプに交換したほか、ORC軽量フライホイール、NISMO LSDなども組み込んでいる。

エンジンルームで目を引くのは“ブルーバッテリー”としてお馴染みのパナソニックcaosだろう。高性能バッテリーはクルマにさまざまな好影響を与え、これもまたひとつのカスタマイズと言っていい。当初はCUSCOストラットバーを装着していたが、オクヤマ・オイルキャッチタンクを取り付けるため、スペースの関係上オクヤマ・ストラットタワーバーへ交換した。SEVはプレミアムエンジンチューナーのほか各種を装着している。
EXTERIOR

アグレッシブな印象を崩さず
サーキット走行に備えたアイテムを追加
ほどよいステッカーチューンを除けば、丹治さんのノート NISMO Sの見た目は、華やかなアルミホイールが目立つくらいで大きなモディファイはない。もともとアグレッシブな意匠の専用ボディパーツが与えられているから、むしろそれは当然か。印象的なレッドのアクセントカラーを各部に効果的に配しているのもNISMOバージョンならではだが、それにあわせたカラーの牽引フックを前後に取り付けている。

サーキット走行に欠かせない牽引フックは、フロントにオクヤマ・トーイングベルト、リアにオクヤマ・トーイングフックをセット。牽引フックはレーシングライクな雰囲気を演出するドレスアップアイテムとしても人気だが、フロントには純正の取り付け穴へボルトオン装着ができるベルトタイプをチョイスしている。リアはノート専用設計のスチール製で、こちらもボルトオンで装着が可能だ。
REINFORCEMENT

ボディのしっかり感を高めて
サスペンションをしなやかに動かす
幅広い車種設定があり、人気の高いCUSCOパワーブレースを装着。フロントサスペンションメンバーからセンタートンネル部まで全体的に補強することができる“フロント”のほか、純正のリヤトンネルステー&リヤアンダーフロアVバーから、角断面のパワーブレースへアップグレードできる“リヤ”を取り付けた。

大きく開くテールゲートを持ったハッチバックモデルは、リア側の剛性確保が課題となる場合が多い。このノート NISMO Sには、リア開口部の左右をブレースで結合し、ボディの歪みを抑制するオクヤマ・トランクブレースを装着した。取り付け作業が比較的簡単で、ラゲッジスペースの使い勝手に影響を与えないのもうれしい。
INTERIOR

RECAROスポーツシートを筆頭に
純正オプションで操る楽しさを向上
クルマの購入時にメーカーオプションから選んだのが、NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート。RECARO Sportsterをベースにしたデザインだが、上質感があって丹治さんも気に入っている。サーキット走行にターゲットを絞れば、フルバケットシートなどまた違った選択も考えられるのだろうが、万能選手として日常を共にすることを考えれば賢いチョイスと言える。

マニュアルシフトであることもノート NISMO S購入の決め手だったが、そのシフトフィールにもこだわっている。ショートシフト化で素早い操作に対応し、ダイレクトなフィールを実現するNISMOクイックシフトフトとシフトノブカラーを装着した。また、メーターフード前の見やすい位置へ、手軽にタイヤ空気圧の状態が確認できるTPMSのモニター部をレイアウトしている。
SPEC
ベース車両 | NISSAN NOTE NISMO S(E12改/2016年式) | |
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タイヤ | BRIDGESTONE: POTENZA S001 215/45R17 |
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ホイール | RAYS:VOLK RACING ZE40 GOLDカラー 17×7.5J BRIDGESTONE:TPMS B-11 |
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フットワーク | NISMO:SPORT SUSPENSION KIT(GENUINE OPTION) CUSCO:FRONT STABILIZER CUSCO:REAR STABIBAR N-TEC:EGOIST 300mm ROTOR 4POT CALIPER KIT DIXCEL:HS TYPE REAR BRAKE ROTOR |
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ボディ補強 | CUSCO:POWER BRACE FRONT CUSCO:POWER BRACE REAR OKUYAMA:STRUT TOWER BAR FRONT CUSCO:TRUNK BRACE SPOON:リジカラ |
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吸排気系 | NISMO:SPORT TITAN MUFFLER(GENUINE OPTION) N-TEC:EXTRA CHAMBER(DRY CARBON) K&N:AIR CLEANER Mine's :TITAN INTAKE PIPE Mine's :SUPER CATALYZER |
エンジン | Mine's:VX-ROM ENGINE CONTROL UNIT Mine's:HIGH FLOW THROTTLE SYSTEM OKUYAMA:OIL CATCH TANK |
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駆動系 | ORC:METAL CLUTCH ORC:FLYWHEEL NISMO:LSD(GENUINE OPTION) |
電装系 | Panasonic:caos BATTERY 80B24R Third Technology:energy box TYPE R Yupiteru:GWR-203sd BOSCH:RALLY REVOLUTION Yupiteru:DRY-AS410WGd |
エクステリア | OKUYAMA:TOWING HOOK REAR OKUYAMA:TOWING BELT FRONT |
インテリア | NISMO:RECARO SPORT SEAT(GENUINE OPTION) NISMO:QUICK SHIFT(GENUINE OPTION) NISMO:SHIFTKNOB COLLAR(GENUINE OPTION) |
その他 | SEV:PREMIUM ENGINE TUNER等多数 |