HONDA N-ONE RS コクピット55
絶妙のさじ加減でカスタマイズを施した、凄みと気品あふれるN-ONE RS
かわいいとか、キュートと形容されることが多い軽自動車なのに、思いもよらぬほどの存在感にたじろいでしまった。ボリュームのあるエアロパーツをまとっているわけでもなく、鮮やかなボディカラーで主張することもない。それなのに、モノトーンでまとめられたJG3 N-ONE RSは、凄みと気品が一体になって見る者に迫り、たまらなく美しい。
ポイントを絞って配したカスタムパーツは、それぞれがみごとに調和し、オーナーのセンスの素晴らしさに脱帽なのだが、その意を汲み細部までこだわりを込めて仕上げたコクピット55のこだわりにも、トータルカスタマイズの妙を感じる。しかし、一気にここまでモディファイを進めたのではなく、ひとつひとつのパーツ投入を楽しみながら完成度を高めてきており、その過程ではいくつかの仕様変更も行われている。
最初に目をひくに違いないタイヤ・ホイールは、「RAYS TE37 KCR PROGRESSIVE MODEL」と「POTENZA RE050」という組み合わせ。当初はTE37 SONIC SLを装着していたものの、シャイニングブラックメタルカラーならではの雰囲気で人気の高いKCR PROGRESSIVE MODELにチェンジ。脱着には専用のアダプターが必要な五角形の「THUNDER BOLT PENTAGON WHEELNUT Shave out」で取り付けたことも相まって、じつに精悍な装いだ。
そんなホイールセレクトの魅力をさらに印象づけているのが絶妙なローダウン。「RS★R Best☆i C&K」にて快適性も確保しつつほどよく落としているが、低く構えたシャープなフォルムをさらに強調しているのがフロント&サイドのボディパーツの取り付けである。「BLITZ AERO SPEED R-Concept Front Lip Spoiler LED LIGHT SET」と「MUGEN Side Spoiler」をボディ同色でセットしているが、注目はBLITZのフロントスポイラー。本来は両サイドにLEDライトが備わるが、オリジナルの雰囲気を残しながらボリューム感を持たせることが装着の目的だったため、スムージングを施しフラットな形状に加工している。
さて足回りのパーツチョイスは、見た目だけでなくスポーツモデルらしいフットワークを際立たせるためでもあることは言うまでもないが、その点においてはこのほかにもふたつのアプローチを行っている。ひとつは剛性アップパーツの取り付けで、「REAL SPORT × tanabe」のフロアブレースを中心にセットしボディ剛性の向上を狙った。そしてもうひとつは、ブレーキシステムのパフォーマンスアップ。「ENDLESS Super micro6 ライト」キャリパーキットをフロントに装着したが、スリットローターと6POTキャリパーの組み合わせは、ドレスアップアイテムとしても大きな効果があることを、TE37の奥に覗く姿が物語っている。
このように乗り味にもこだわったN-ONE RSだから、その走りを心ゆくまで楽しむためにはクルマとの“コミュニケーション”をしっかりと取れることが大切。そこで、シートをRECAROに交換し、コンフォートタイプの新世代フルバケットシート「RECARO RCS」を選んだ。その座り心地に大満足だったものの、たまたま店内に展示されていた「RECARO RS-G」に身を収めたところホールド感に魅了され交換を決断。現在はRCSを助手席へ移設し、運転席にRS-Gをセットしている。加えて、こちらもクルマを操る上で重要なステアリングも「MOMO TREK R」に交換。ステアリングスイッチは、「WORKS BELL SRD KIT」にて利便性を損なうことなく移設した。一方、インテリアにおいてはオーディオにもきっちりと手が入り、高知市のオーディオナビ専門店にてシステムアップが図られている。
こうしてカスタマズの内容を追っていくと、妥協なく自分好みに仕立てるということこそ、魅力的な“愛車”を生み出すために欠かせないことなのだと痛感する。オーナーはカーケアにも一家言あり、アダムスポリッシュの各アイテムを使用して常にN-ONE RSを美しく磨き上げているが、そんなクルマに対する愛情はこの魅力的な仕上がりによってさらに深まっているに違いない。
DETAILS
匠の技
TIRE & WHEEL
TE37 KCR PMとPOTENZAで
見た目も乗り味もより上質に
さまざまなハイパフォーマンスカーの走りを支えるプレミアムスポーツタイヤとして、長きにわたり支持されている「POTENZA RE050」は、軽自動車のスポーツモデルに新車装着タイヤとして採用されており、N-ONEとの相性もいい。サイズは前後とも165/50R16で、装着した際のボリューム感が絶妙だ。ウェット、ドライともに高いグリップ力、操る楽しさを存分に味わえるコントロール性、そして優れた快適性など、スポーツテイストを追求しながらもタイヤに求められるさまざまな性能を高いレベルでバランスさせているのが大きな魅力だ。
こちらのN-ONE RSは2021年式だが、車高調装着後の2022年に“RAYS VOLK RACING TE37 SONIC SL”へとホイールを交換。しかし翌年に登場した軽自動車向けの「TE37 KCR PROGRESSIVE MODEL」に魅せられて、シャイニングブラックメタル/リムFDMC(HF)をチョイスし新たなホイールをセットした。さらなる上質さにこだわった「TE37 KCR PM」は、段付きリムにFDMC(フォージドダイヤモンドミラーカット)加工を施すことで鏡面のような輝きを実現。ブラック×クロームの「VR CAP」と、「THUNDER BOLT PENTAGON WHEELNUT Shave out」を組み合わせることで、より大人っぽい雰囲気を湛えている。
FOOTWORK
理想の姿を徹底追求するために
車高調&キャリパーキットを投入
スタイリッシュなローダウンフォルムを快適性を犠牲にせず手に入れるため、全長調整式、36段減衰力調整採用の軽・コンパクトカー向け本格車高調「RS★R Best☆i C&K」を装着。さらにブレーキシステムもアップデートし、特注製作の「ENDLESS Super micro6 ライト」キャリパーキットをフロントに取り付けた。6POTキャリパーのカラーはオプションで用意された高耐熱塗料の中からレッドを、ローターのベルハウジング部はブラックアルマイトをチョイス。制動性能の向上はもちろんのこと、ブレーキタッチもノーマルとは別物の仕上がりとなっている。
REINFORCEMENT
快適でより楽しい走りを求めて
剛性アップパーツをチョイス
上質な乗り心地とリニアなステアリングフィールを実現する手立てとして、トータルに行ったのがボディ補強だ。幅広く活躍するレーシングチーム“リアルレーシング”の用品部門「REAL SPORT」と、老舗パーツメーカーの「tababe」がコラボしたブランド「REAL SPORT × tanabe」のフロアブレース「FRONT1」、「FRONT2」、「CENTER」、そして室内側に取り付ける「PERFORMANCE BRACE」のほか、「tanabe SUSTEC UNDER BRACE」も装着。剛性アップにより足回りがよく動くようになり、しなやかな乗り味を楽しめるようになったという。
EXTERIOR
ほどよいボリューム感に抑えた
フロント&サイドスポイラーを装着
フロント部はいわゆるリップスポイラーを取り付けることでカスタマイズ。「BLITZ AERO SPEED R-Concept Front Lip Spoiler LED LIGHT SET」をチョイスしたが、じつはポン付けではない。本来は両サイドに5連のLEDライトが取り付けられている製品で、あえてシンプルでスマートなデザインとするために、スムージングを施しフラットな仕上げに加工。さらにセンター部分をブラックに塗り分けることで重厚感を演出するなど、細部にわたってオーナーの理想を追求したフィニッシュが与えられている。
バランスのいいボリュームアップでローダウンフォルムを印象づけるために「MUGEN Side Spoiler」を取り付けた。ツヤ有りブラック仕上げと未塗装が設定されているので、存在感を際立たせるためにツヤ有りブラックを選ぶ場合も多いが、ボディ同色とすることでさりげなくスタイルアップを実現しているところが心憎い。このようにエアロパーツ取り付けの目的は、ノーマルの雰囲気をできるだけ残しながら、ほどよい変化でよりスポーティに仕上げていくこと。その絶妙なさじ加減に、カスタマイズに対するこだわりを感じる。
INTERIOR
6MTで操るN-ONE RSの魅力が
ステアリング交換でさらにアップ
3ペダル、6速マニュアル車だからこそ、操る楽しさが存分に味わえるようコクピットのモディファイにも抜かりはない。ステアリングはシャープなハンドリングに貢献する「MOMO TREK R」に交換。Dシェイプ、ガングリップタイプの小径ステアリングは、レーシーかつアグレッシブなデザインが印象的だ。ここで悩ましいのが純正ステアリングに備わるスイッチの存在だが、「WORKS BEL SRD KIT」を使用してステアリングスポーク奥に移設。機能を損なうことなく、ステアリング交換を実現している。また、ステアリングポスト右奥の小物入れには、New PPTのコントローラーをセット。よりキビキビした走りを楽しめるスロットルコントローラーだ。
AUDIO&VISUAL
“音”へのこだわりが詰まった
3wayスピーカー&ヘッドユニット
オーディオシステムもこのクルマの注目ポイント。高知市のオーディオナビ専門店、ガレージ ショウエイにて作業を行い、独自の音質向上テクノロジーを採用したナビゲーション「DIATONE SOUND. NAVI NR-MZ300PREMI」をインストール。さらに3Wayスピーカーシステムも新たに構築した。ピラー部へ、上がツィーター「FOCAL Utopia M TBM」、下がミッドレンジ スコーカー「カロッツェリア TS-S1000RS」と縦に並べて加工取り付けを行い、デッドニングを施したドアにはウーファー「FOCAL Utopia M 6WM」をセット。高音質を追求している。
RECARO SEAT
キャラは異なるが座り心地に惚れ込んだ
RECAROのフルバケを2脚装着
運転席には「RECARO RS-G GK(RED×BLACK)」を取り付けた。RECAROを代表するバケットシートだが、ストリートユースを前提にあらゆるシーンにおける優れたホールド性能、着座性能、そして快適性にもこだわり、日本市場向けに開発されたモデルである。オーナーはコクピット55に展示されていたRS-Gに試座して、そのホールド感に惚れ込み購入を決めたそう。オールパーパスにドライビングをサポートしてくれるRECAROの存在は、このN-ONE RSにとって欠かせないものとなっている。
助手席には「RECARO RCS(BLACK SHELL×RED GLASSMESH)」をセットしている。リクライニング機構を持たないフルバケットシートのフォルムを採用するが、シンプルかつ究極の快適性をプラスした新たなコンフォートスタイルシートとして登場。ほどよいホールド性能とロングドライブも快適に過ごせる心地よさに魅了され、当初はドライビングシートとして使用していたが、さらなるホールド性を求めてRS-Gを装着したため助手席へと移設した。カラーリングを合わせたこの2脚の組み合わせ、なかなか魅力的だ。
SPEC
ベース車両 | HONDA N-ONE RS(JG3) |
---|---|
タイヤ | BRIDGESTONE: POTENZA RE050A 165/50R16 |
ホイール | RAYS: TE37 KCR PROGRESSIVE MODEL シャイニングブラックメタル/リムFDMC(HF) THUNDER BOLT: PENTAGON WHEELNUT Shave out THUNDER BOLT: AIRBULB CAP |
フットワーク | RS★R: Best☆i C&K ENDLESS: Super micro6 ライト |
ボディ補強 | REAL SPORT × tanabe: FLOOR BRACE FRONT1 REAL SPORT × tanabe: FLOOR BRACE FRONT2 REAL SPORT × tanabe: FLOOR BRACE CENTER REAL SPORT × tanabe: PERFORMANCE BRACE tanabe: SUSTEC UNDER BRACE |
エクステリア | BLITZ: AERO SPEED R-Concept Front Lip Spoiler LED LIGHT SET MUGEN: Side Spoiler THUNDER BOLT: LICENSE BOLT KIT |
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インテリア | RECARO: RS-G GK (RED×BLACK) RECARO: RCS (BLACK SHELL×RED GLASSMESH) MOMO: TREK R WORKS BELL: SRD KIT |
オーディオ&ビジュアル | MITSUBISHI: DIATONE SOUND. NAVI NR-MZ300PREMI FOCAL: Utopia M TBM FOCAL: Utopia M 6WM PIONEER: carrozzeria TS-S1000RS |
その他 | DTE SYSTEMS: New PPT MARUKO HORN: SUPER GIGA |