KIZUNA STORIES

こころに響くサービスは、スタッフみんなでつくりあげてゆくもの。それは創業以来三十余年、こだわり続けてきたおもてなしのスタイル。
コクピット城南

 取材は終盤にさしかかり、スタッフ全員が揃う写真の撮影が始まった。86を囲んで楽しそうに話をする3人。それを傍らで眺めていたら、自分がお店の雰囲気にすっかり馴染んでいることにふと気がついた。まるで何年も前から通っているかのようにリラックスしていられる……。コクピット城南には、初めて訪れた人にもそう思わせる不思議な空気が流れている。だから、なんとも居心地がよいのだ。
 1982年に産声を上げたコクピット飯倉を経て、現在はコクピット城南と改称。すでにその歴史が32年にもおよぶ、九州のコクピット1号店である。クルマ好きはもちろん、地域の方々のカーライフをさまざまな角度からきめ細かくサポートする真摯な姿勢は、今も昔も変わることがない。

 そして、訪れたみなさんを笑顔で迎えるのがここに登場する3人だ。向かって左が大場 剛 店長。右端が古川龍二アドバイザー、中央が田平倫敏アドバイザー。いちばんの若手、田平さんでもお店に勤めて十年余りと、スキルの高い経験豊富なスタッフばかりである。
 そんなコクピット城南に、トヨタ86のカスタマイズを進めている20代のオーナーが足しげく通っていると耳にした。さて、クルマとどんなつきあい方をしているのだろう。お店をどのように利用されているのだろう……。興味がわいて、話を聞いてみることにした。

きっかけはアライメント調整。そして、シビックから86へ。

 稲村慎治さんが、コクピット城南を初めて訪れたのは、4年ほど前。購入したEK9 シビック・タイプRに車高調を取りつけたのち、アライメント調整をしてもらえるお店を探していたところ、コクピット城南にいきあたった。
「ネットで検索して見つけたので、紹介者もなくまさに“飛び込み”。それでも丁寧にじっくり説明してもらえて、とても親切なお店だなというのが最初の印象でした。もちろん、調整もバッチリでしたよ」
 そう話す稲村さんは、明るく親しみやすいスタッフにもひかれ、以来EK9シビックのメンテナンスをコクピット城南で行うようになった。22歳のときのことである。

 その後、ステアリングを握って楽しいスポーツモデルが大好きな稲村さんは、ロングドライブに連れ出したりワインディングロードを攻め込んだりとEK9の走りを満喫していたのだけれど、転機は突然おとずれる。トヨタ86との出会いだ。
「興味はあったのですが、新車ではちょっと手が出ない。まだまだ夢のクルマだなと思っていたとき、通りがかった販売店に新古車が展示されていたんです」
 ほとんど走行していないオレンジメタリックのトヨタ86には、思いのほかリーズナブルなプライスタグがつけられていた。それを目にした稲村さんの決断は早く、2012年の暮れに憧れの86が彼のもとへとやってきた。そして26歳になったいま、稲村さんは、着々と86のカスタマイズを進めているのである。

お客さまとの関係と同様にスタッフも固い絆で結ばれている

 走りも、見ためも、自分らしくまとめあげたいという稲村さんの気持ちを受けとめて、コクピット城南は86のカスタマイズを全面的にサポートしている。けれど、担当するスタッフはとくに決まっていない。いやいや、それでは説明不足。正確に言えば、3人みんなが担当者なのである。
「私たちは、スタッフ全員がお客さまときめ細かくコミュニケーションをとるよう心がけています。それぞれお休みをいただいたり、手が離せない場合もありますが、そんなときでも素早くに対応し、お客さまにストレスを感じさせないお店でありたいからです。また、クルマの情報を共有していれば、3人でアイデアを出し合いながら最善のご提案ができるのもメリットでしょうか」と大場店長。

 そんなお店づくりを支えているのが、それぞれ魅力的な人柄を感じさせる3人の親しみやすさだ。
 お店全体に目を配りながら、明るく誠実な接客でコクピット城南を牽引する大場店長。30年以上コクピット城南に勤務する古川アドバイザーは、ラリー競技の経験もあり走り好きの強い味方だ。田平アドバイザーは、丁寧な受け答えと意欲あふれる働きぶりがなんとも爽やか。
 さまざな作業に精通し、安心して愛車を任せられるスキルを持った3人だが、根っからのクルマ好きという共通項でしっかりとつながっている。そう、コクピット城南は絶妙のチームワークが光るお店でもあるのだ。

高い完成度を追求する気持ちが、確かなクルマづくりを支える。

 さて、稲村さんのもとに86が納車されると、まずは足回りのカスタマイズがスタートした。アドバイザーは当然のことながら、厚い信頼を寄せるコクピット城南すべてのスタッフ。いくつかの候補からアイテムを絞り込み、何度となく相談を重ねていった。
 そうして選んだのは、ホイールがRAYS グラムライツ 57エクストリーム、組み合わせるタイヤはPOTENZA RE-11A。タイヤサイズは前後とも225/40R18だが、ホイールはフロント7.5J、リヤ8.5Jをチョイスし、前後で異なるフェイスデザインを履かせている。フロントは軽快さをアピールし、リヤは細身のスポークが形づくる彫りの深い表情で魅せる。このあたりのチョイスの妙味は、コクピット城南の引き出しの多彩さがあればこそなのだろう。

 さらに、18インチホイール&タイヤセットに合わせて、車高調はクスコ・ストリート・ゼロAを装着。稲村さんによると下げ幅は“お任せ”だったそうだが、実用性を犠牲にすることなくスタイリッシュに、そして走りも突き詰めるために何度も調整を繰り返し、セッティングを煮詰めていったという。
「僕より、スタッフのみなさんのほうが強くこだわっていたかもしれませんね。おかげで足回りの仕上がりには大満足です」
 もっと走りが痛快な86へ、見た目のカッコよさも譲れないという当初のオーダーは、こうしてみごとに実現された。

期待値を超えるカスタマイズで、お客さまを笑顔にしたい

 自分らしさにこだわった86に仕立てあげる作業を、稲村さんはけっして急がない。たくさんのメニューを一気に盛り込んで、理想のマシンを完成させるのもひとつの選択肢だ。しかし、稲村さんは少しずつモディファイを行う道へ進んだ。それは、フトコロ具合と相談で……、ということもあるのだけれど、一歩一歩理想に近づけていくその過程を、ゆっくり楽しみたかったのである。
 実は、取材のあとにも作業が待っていた。HKS OB-LINKの装着である。故障診断装置のコネクターに接続することで、スマホにメーター機能をもたせることができる最新システムには、稲村さんだけでなく取りつけを行う田平スタッフも興味津々。
 もちろんOB-LINKだけでなく、86のカスタマイズはこれからも続いてゆくようで、取材の合間にはつぎは何をしようかと大場店長と作戦会議が始まった。

「近いうちにLSDを組み込みたいですね。コーナリングがどう変わるのか楽しみです」と稲村さん。まだまだたくさんの“ああしたい、こうしたい”が頭の中を巡っているらしい。
「カスタマイズのお手伝いをさせていただくときには、お客さまが思い描く理想の姿を超えるもの、それがご提案できればと考えています」
 そう話す大場店長は、作業を終えたクルマに接して喜びの表情を浮かべるお客さまの顔を見るときが、いちばんうれしいそうだ。稲村さんも「どんな作業でも安心して任せられます。想像していた以上の仕上がりにはこちらも笑顔になりますね」と話してくれた。
 想いは届いているのである。